第36回大学選手権

日付 12/19

12/25

1/2

  1回戦 2回戦 準決勝
相手 日体大

早稲田大

慶應義塾大

得点 107-0

48-0
59-0

43-6

24-6
19-0

19-25

12- 3
 7-22

場所 花園 花園 国立
南A 大瀧B 南A 大瀧B 大瀧B  
堂守B 水間C 水間C 杉原A 水間C  
尾崎B   尾崎B   尾崎B  
林B   林B   林B 佐藤C
藤井@   藤井@ 斉藤B 堀井C 斉藤B
太田C 斉藤B 太田C   太田C  
奥薗@   奥薗@   奥薗@ 田中正B
川嵜C   川嵜C   川嵜C  
見先B   見先B   見先B  
10 加藤B 中井B 大西B 中井B 大西B  
11 中矢@   中矢@   中矢@  
12 徳野@ 平岩C 伊勢A 徳野@ 伊勢A 徳野@
13 松本C   松本C   松本C  
14 馬場A   馬場A   馬場A  
15 船越C   船越C   船越C  

感想

日本体育大学 12/19記

メインスタンドとバックスタンドはかなり満員で、ほとんどが近畿大と同志社大の応援でした。ホームゲームでしたが、関西リーグとはやはり雰囲気が違いました。
試合前にサブグランドで行われていた練習に大西が参加していないので不思議に思っていましたが、関係者の方の話では練習中のケガとのこと。(不確かなので、これ以上は書きませんが) かなり心配です。スタンドでスーツ姿で応援はしているのを見かけて一安心はしましたが。
試合ですが、開始早々のファーストスクラムでいきなり相手をめくり上げてしまい、いきなりFWについては勝負ありというムードになりました。誰もが開始早々のこの時点で、勝利を確信したことでしょう。事実その通りになり、ペナルティーではことごとくスクラムを選択、展開できる場面でもFW勝負に徹して、モール、ラックで圧倒しました。前半はFWとWTB、FBだけで点を取ってしまった印象です。最もこれはBK勝負を避けたわけではなく、3次、4次攻撃に移る前にトライになっていたからだと思います。防御面では前半終了間際の自陣ゴール前の攻防で、ゴールラインを越えられながらダウンボールさせずに押し返したのは去年の啓光学園を彷彿させました。

後半に入って、第一列の選手の交代もありましたが、スクラムは押しまくりました。圧巻は相手ゴール前での相手ボールスクラムを押してのトライでした。ノックオンはわりとありましたが、相手スクラムになっても押し込むので、ボールを奪うか、相手が苦し紛れのキックを蹴ったりと全く怖さはありませんでした。攻守ともにほぼ完璧と言える内容だったと思います。105点目の最後のトライを水間主将が決めたのも良かったです。
上記の点以外で目立った点を上げてみます。

@個々のボールキープ力
ボールを持った選手が縦に突っ込むケースが多かったが、2〜3人に囲まれても倒れる選手はいない。立ったままで仲間を待てるので、容易にボールを継続できていた。これはFWだけでなく、BKの選手が相手FWに囲まれても言えることであった。そのため、苦し紛れのパスやキックをしなくてよく、これが完封の原因だと思う。
A
フォロー、集散
しかし、フォローは決して早いとは言えなかった。FWの強さは大学でも屈指であると思うが、やはりもっと強い相手を想定すると、地道なフォローは必要である。集散に関しては今シーズンの課題だと思うが、寝たままの選手は劇的に減った。これがこの試合の最大の成果だと思う。
B
SO
SOは加藤、中井が務めた。どちらもスピードのあるいいSOであることは間違いない。しかし、この試合ではSOからラインにボールがまわるケースがあまりに少なかった。理由としては2点。SOで潰されていたことと、FWが圧倒的に優位にたちSOにボールが渡るケース自体が少なかった事があげられる。前の試合までは前者については大西が潰されると事はまれであったし、後者についてはモールから川嵜と大西のどちらにもバランスよく回してマークを分散していた。やはり、SOに大西のいない影響は確実にあった。
また、サインプレーでSOとCTBのところで失敗も目立った。きれいなライン攻撃が決まったのは2、3度であったろう。WTB、FBは大いに活躍したが、ライン攻撃ではWTB、FBまでボールが回ったのはわずかであった。司令塔としてあの浅いラインを操れるのは大学を見渡しても
大西ただ1人であろう。
C1回生
初登場の徳野はボールが回ることが少なかったですが、うまい球さばきを見せてくれました。まだまだこんなものではないと思います。次に期待したいです。中矢はライン際の走りに鋭さがみられ、状況に応じて逆サイドまで回り込む考えたプレーまで見せてくれた。奥薗は相変わらずの運動量に加え、強さも目立った。藤井の突破はやはり脅威。先輩らに遠慮せず、もっと強引に突っ込んでもいいと思う。
DFWの突破力
スクラムからの川嵜の突破はすごい。この日は何度、突破してくれたことだろう。観ていて、もう無理しないでと思うほどであった。堂守の出足の速い突破、林のスペースをすり抜ける走りも見応えがあった。
Eキック
馬場は前半の前半は珍しく、2、3回外しました。WTBまでボールが回らず、体がほぐれていなかったせいでしょう。以後はすばらしかったです。キックではないですが、馬場は攻守ともに気合いの入ったすごいプレーを見せていました。
Fラインアウト
相手のプレッシャーがなかったので、かなり獲得できていたが、ミスもあった。

今日のFWをみると、大学チームでは止められるところがないのではと思います。スピードもあり、ディフェンスでもあっという間に相手との間合いをつめていました。にもかかわらず、思うのですが、FWが同等のチーム(同等のチームがあったとして)と当たったときに、同志社は勝てるかと言うことです。やはり必要なのはフォローや素早い集散だと思います。そして、もう1つ、大西がいない場合の司令塔です。

完勝すればするほど、不安になるのがファンの心理なのでしょう。かなり辛口のことを書いてしまいました。が、試合中は本当に楽しましてもらいました。モールでどんどん進む様に、WTBが一発で大きなゲインをする様に凄すぎると感嘆の声を上げるのみでした。よくここまで来たと、唸らずにはいられません。
そして、試合後の選手たちのさわやかな笑顔にまた感激です。余談ですが、一緒に行った女性たちはゲームキャプテン川嵜がかっこいいという事しきりでした。本当に輝ける選手たちです。2回戦も花園です。がんばってください。

追伸 (12/20記)
大西ですが今日の新聞などによると、15日の部内マッチでタックルを受けた際に胸部を強打、吐血をして倒れた。救急車で運ばれたとのこと。本人は気丈にも出場を訴えたが、医師の指示で欠場となったとのことです。恐らく、激しい練習をしていたのでしょう。春のラグビー祭でも同じような事がありました。
来週の早稲田大戦には大西に出てほしいとのファンの声が多く、本人も出るつもりらしいです。しかし、ここはあえて、
出ないでくれと言いたいです。持病の足の故障なら無理してでも出てほしいと思ったでしょうが、今回は場所が場所です。加えて、SOでキーマンである彼が出れば、相手ディフェンスの標的になるでしょう。選手生命を犠牲にしてまでの勝利は望んでいません。選手を終えた後の人生もあります。冷静な判断をしていただきたいと思います。

 

早稲田戦  12/29記

 早稲田大戦は観戦できませんでした。試合から4日たってビデオで見ました。
掲示板の方でも話題になっていましたが、関西リーグと比べて今のチーム状態はどうかが最大の興味でした。結論から言いますと、強くなったと思います。スクラムの強さなどは相対的なものなのです、し実際に見たわけでもないので比べられませんが、組織としての完成度は関西リーグの前半と比べると飛躍的に上がっているといえるでしょう。

○ディフェンス
関西リーグの京産大戦でも感じましたが、特にディフェンス時にチーム戦略に沿った動きができるようになってきたと思います。この試合は早稲田のグランドの横方向を使ったワイドな攻めに対して、できるだけ前で激しいタックルを決めることからゲームを組み立てていましたが、単発のタックルではなくFW、BKが連携して相手の走れるコースを絞った上でタックルを決めるという組織的なディフェンスでした。このため、結果として早稲田は狙いとするワイドな攻撃ができませんでした。ラックから早稲田にボールを継続された場合の2次攻撃以降のディフェンスでも人数が減ることなく網に掛けていました。これはタックル練習の成果もさることながら、全員が考えてプレーしているためだと思います。当然、集中力が切れることもなく、関西リーグの序盤にみられたセットからのディフェンスの破綻もありませんでした。
これからの試合ではディフェンスが鍵を握ります。数年来の課題であったディフェンスが克服できているのは心強い限りです。

 ○スクラム
スクラムについてはこれほど強くなるとも、これほどゲームに与える影響が大きいとも思っていませんでした。新鮮な衝撃です。慶応大も押し切ってしまうのでしょうか?社会人チームとの対戦が楽しみです。

 ○少しの懸念
気がかりはやはり集散です。これだけのディフェンスをみせており、決して悪いわけではありません。後半20分までの早稲田に連続で支配されたラックですが、密集に入る人数をなるべく減らして、FWもラインに並ぶというのは現在のラグビーでは鉄則だと思います。ただ、少人数でラックを組むのはいいとして、密集に入る人はもっと早くボールに働きかけるとマイボールにできたのではと感じます。
それより、一番の気がかりは大西の状態です。この試合は本調子とはほど遠い状態のようでした。彼のBKラインの操作術は今年の同志社には不可欠なことが、本人が一番分かっていると思います。それだけに、無理してしまわないか大変心配です。
これまで切り込み役としてチームを引っ張ってきた堂守のリタイヤが残念です。水間主将にはラインアウトも含めて堂守の分までがんばってもらいたいです。

 試合の時刻には岡山・湯郷のグランドにおりました。春に慶応大と対戦した美作サッカー・ラグビー場です。あの試合は見ていませんが、その場にいるだけで同志社と慶応の選手たちの姿が見えるようでした。どちらも低迷からはい上がってきた伝統校。歴史に残るようなファイトを復活を待ち続けた全国のファンに見せてほしいと思います。

 

慶應義塾大戦  1/2記

 テレビ観戦でしたが、試合前から緊張していました。息をするのも苦しいほどでした。1ファンの私でさえ、このような状態ですから、選手たちの気持ちの高ぶりはどれほどか想像もつきません。念願の国立で、打倒を目標にしてきた慶應との対戦という緊張感が、同志社を苦しめたような気がします。試合の内容は全国ネットで放送されたので、多く語る必要はないでしょう。これまでとの比較やわたしの感想、思いを中心に少し書いてみます。

この試合の大きな流れとしては、
「力の接近する激戦になると思われ、FWでどんどん押していく同志社は当然、FWの消耗は激しくなるだろう。最近は解消しましたが、それでも関西リーグの序盤まではスタミナ不足を露呈したFWである。また、相手が後半の追い上げを得意とする慶應でもあります。前半にできるだけ貯金して後半逃げ切るというのが同志社の勝ちパターンでないか。」と感じていました。テレビの放送で慶應・上田総監督の「前半14点差以内ならなんとかなる」というコメントが紹介されていましたが、この試合のポイントを的確に捉えたものだと思います。

事実、この試合は前半で思ったほど貯金が出来なかったのがすべてでしょう。特に前半の終盤のペナルティーキックを慶應が決めたのが大きかったと思います。同志社も前半終了間際に相手ゴール前まで攻めたが、時間切れ。いやな雰囲気になったと思います。
後半が始まると慶應が早々にトライをとり、慶應の一方的な展開が30分すぎまで続きました。これは前半が終わり、肉体的よりもむしろ精神的に疲れがでた同志社と「いける」という感じを持った慶應の差がそのままでたためでしょう。ハーフタイムの慶應首脳陣のベンチワークもよかったのではないかと推測されます。

<前半>
前後半で試合内容の対照的な試合となりました。前半は強い同志社でした。
個々のあたりの強さがよく生かされていました。松本のトライは全国のファンを唸らせたと思います。水間主将が就任時に「個人が強くなればチームも強くなる」と言っていましたが、まさに狙い通りの試合だったでしょう。ディフェンスでも個々の強さが生きた上に、動きもよく、相手がラックで一呼吸おく間に陣形は整っていました。ただ、今までの試合と違うと感じることもありました。
@スクラム
相手の崩しもありましたが思うようには押せませんでした。FWの選手はマズイと思ったかもしれません。スクラムから試合を作るチームという意識があるため、これを最後まで引きずってしまったようにも思えます。しかし、ここから本当のラグビーが始まると思います。どういう攻撃をするかに注目しましたが、前半はスクラムが回った逆方向にNO8川嵜が走るなどうまい攻撃を見せてくれました。
Aミス
恐らく緊張があったと思います。攻めている場面でのノックオン、オフサイド、ノットストレートが余りに多かったです。始めての国立でもあり、本体なら序盤はじっくり行きたいところですが、点差を開きたいという気持ちが必要以上の緊張になったかもしれません。
Bフォロー
大きなゲインの際のフォローが少しづつ遅れているように感じました。決して、遅いとは言えません。が、このレベルでの試合では少ないチャンスでは必ずトライに繋げる必要があります。そのためには徹底したフォローでボールキャリヤーをはぐらしてはいけません。Aでミスと書きましたが、そのうちのいくつかはフォローが遅いことによるものもありました。

<後半>
後半は30分すぎまで自陣での試合でした。ほとんど防戦一方の展開で、時折自陣から攻めるもののハーフラインは越えられませんでした。
弱い同志社のようにも見えましたが、決してそうではなく、自陣を抜け出す有効な方法を持たなかったため、点差以上にそのように見えただけだと思います。
○地域の獲得について
ただし、結果論ですが、自陣から回してトライを奪えるほど、選手権は甘くないのも事実でした。相手陣で試合をして、少ないチャンスを生かすという試合運びが必要です。しかし、不幸にも今までの試合では自陣から回しても大きくゲインできたため、このあたりを深刻に考える必要がありませんでした。シーズン終盤に強豪チームと対戦していない影響が出たとも言えます。これに関して技術的な課題は以下の2点だと思います。
 ・キック処理
蹴ってはきっちり陣地をとれず、蹴られては処理にもたつく間に攻め込まれました。これでは自陣から抜け出すことができません。関西リーグでは問題となりませんでしたが、キック後に素早く間合いを詰めるチームがなかったためです。しかし、ケンブリッジ戦では露呈した課題です。結局は修正しきれなかったと感じてしまいます。伸びるキックが蹴れるロングキッカーも、どの試合でも必要というわけではありませんが、こういった試合では不在が響きます。
 ・ラインアウト
相手陣に入れなかったもう1つの理由はラインアウトです。マイボールをクリーンキャッチできないのでは前進できません。そのあたりを慶應に執拗に狙われました。一方、同志社があまりタッチキックを蹴らなかったのはラインアウトの不安によると思います。
○集散について
しかし、キック、ラインアウトが劣勢でも、FWの強さとBKの多彩なオプションで自陣からでも攻め込めるのが今シーズンの同志社です。なぜ、それが出来なかったのかというと、やはり
集散の遅さ。スタミナが切れ始めた後半は明らかに集散が遅くなった。個々の力では劣る慶應が同志社よりもわずかに早い集散を見せ、それぞれの現場で数で圧倒していました。1度集散が遅れると、ラックに要する人数が増えるため、次のポイントへはもっと集まりが遅くなるという悪循環になっていました。
しかし、同志社が集散で慶應に大きく劣るかというと、そうではないと思います。テレビで見ていただけなので、よく分からない部分なのですが、
慶應FLの野澤に原因があるのではないでしょうか。彼1人で2、3人消費されてしまい、他が手薄になってしまったと思います。特にディフェンス面での防御網の破綻はそう考えなければ説明できないほど、ここ数試合では見られないものでした。
○慶應について
後半の慶應ディフェンスの強さには脱帽しなくてはなりません。
期待のバックスリーが思うように走れなかったのは最後まで破綻しなかった慶應のディフェンスのためだと思います。本来、今シーズンの同志社はFWで攻撃、BKで防御のチームではありません。SO大西を拠点に多彩なオプションを持っています。FWが強いため、大西のパスも密集を突かせるものが多いのですが、外でも十分勝負できるチームです。この試合はWTBまで生きたボールが回るケースはほとんどなかったですが、慶應の早いつぶしによるものでしょう。慶應のディフェンスは素晴らしいと思います。

後半の終盤には意地を見せてくれましたが、及びませんでした。死力を尽くして戦ってくれたすべての選手たちには本当にありがとうと言いたいです。しかし、今年に限ってはこれが精一杯とはとても思えないという気持ちもあります。FWが互角になった場合の試合を1度でも経験していれば、また別の展開があったでしょう。それだけに、伸びしろがまだまだあるチームです。今年はこれで終わりではありません。日本選手権で期待したいと思います。

 

− 追記1 − (1/3記)
選手たちがどう思っているのかを知りたくてスポーツ新聞を3誌ほど買いました。
ゲームキャプテン川嵜の「この点差が力の差かもしれない。いつもとリズムが違った。」というコメントは今の同志社の苦悩を表しているようです。圓井監督も「スクラムが押せなくなって気分的に優位にたてなかった」と述べられています。大西の「慶應は強いって気もしなかった」というコメントを読むと、彼の試合中の「どうしたんだ」といった表情もうなずけます。いずれも、根が単純ではないことを表しているように思われます。

監督も選手も敗因としてはラインアウトよりもスクラムをあげました。スクラムからというのが今シーズンの戦略でした。それを貫き通した選手、関係者を誇りに思います。
しかし、慶應戦では個々の力は上回っているものの密集サイドだけを攻めて勝てるほどフィットネスに差はないということも分かったと思います。極論すれば、打開策は2つ。フィットネスのさらなる強化であくまでFWでの圧倒を狙うか、もしくは攻撃パターンを増やして展開を志向することでしょう。これはチーム内部でも意見が分かれるでしょうし、周囲からの様々な声もあると思います。しかし、感情的なしこりだけは残さずにチームを作っていってほしいと思います。

逆境をいかに切り抜けるか」 これがラグビーの醍醐味だと思いますし、私にとってはラグビーを見続ける一番の理由でもあります。それは試合に於いてもそうですし、チーム作りでもそうです。慶應はスクラム、個々の力といったラグビーでは決定的ともいえる部分の差を見事に跳ね返しました。同志社もこの試合を糧にもっと強くなってほしいと思います。来シーズンとはいわず、日本選手権でも結果は出せると思います。

 

− 追記2 − (1/6記)
この試合と今後について、いろいろな意見を聞かせて頂きました。そろそろ、主な思考パターンとしては出尽くしてきたのではと感じます。もちろん、私などがこれ以上、付け加えるつもりはありませんが、記録として残す意味で少し書き留めておきます。賞賛が多いのは当然で、私も同意見ですが、ここではあえて課題についてのみ挙げてみたいと思います。

この試合の敗戦理由として挙げられているものを独断でまとめます。
 @経験の差(これは意味するところがかなり幅広い)
 Aラインアウトの精度不足
 Bタッチキック、キック処理の精度不足
 Cハンドリング、パスの精度不足
 DBKに展開力、決定力がなかったなど、BKの力不足(大西が病み上がりという事も含めて)
 EFWがスクラムなどのパワープレーで大きく主導権をとれなかった
 FFWのスピード不足
 G個人技でフィニッシュまで持っていく大駒がいなかった
 H組織としてのディフェンス力不足
 IFWがパワープレーに固執したチーム戦略(SOからのBKの展開が密集サイドに偏ったことも含む)
このうちの複数を挙げられる方が多かったです。もちろん、これ以外にもいろいろありました。時の運という意見もありましたし、育成方法、部のあり方といった背景に関するもの、変わったところでは選手の茶髪(おそらくSH?)が相手の目印になっている(結構納得しました(笑))なんていう意見もありました。すごくいろんな意見があり、本当に奥が深いと思いました。
このうち、@の経験はどうしようもなく、A〜Cはスキル単体の問題なので克服にかかる難易度は別として項目としてはシンプル。
D〜FはBKとFWの力そのものので、BKに展開力がないとか、FWは強いがスピードはなかったといった意見はこの試合まではほとんど聞かれなかった内容である意味新鮮です。私には判断しかねる問題ですが、個人的には慶應に勝るとも劣らずと思っています。ただ、FWの集散が遅いのは関西リーグでも見られた歴然とした事実で、最後に命取りになった感はあります。しかし、
集散とスピードは全く別でしょう。
Hはある意味で同志社永遠の課題のようで、京産大戦で克服済みと思われたが、フェーズが高くなった場合などでは顔を出すようです。

一番ホットなのがIで、圓井監督の「スクラムがすべて」というコメントも議論の白熱を増長させているようです。これに関しては「らくがき帳」の「404」の投稿のような側面をファンもわかる必要があると思います。スポーツ指導者の一番の頭痛の種は選手のモチベーションをいかすれば高められるかだと思います。私も大変な苦労をされてできあがったチームについていろいろと意見を言っていますが、慶應と同じ土俵にもってくるまでの経緯を忘れていたような気がします。反省させられる投稿です。

少し、話がそれますが、観戦された方から頂いたメールを拝見していて思ったのですが、この試合では慶應はFW中心に攻める同志社を同じ次元で受け止めないで、自分たちの次元に持っていって勝負したような気がします。同志社ががんばればがんばるほど空回りしたといったらいいすぎでしょうが。その意味では94年1月2日の明治大戦では明治は同じ次元で受け止めてくれたので、力を出し尽くした達成感もあったし、勝負を越えた感動を与えたのかという気もします。

同志社の戦術に関しては「らくがき帳」に他大学の関係者、ファンの方の投稿があり、改めて読むと納得させられるものがありました。特に「162」と「284」です。一度読んでいただきたいと思います。私は圧倒的な説得力を感じました。

今期のチームの方向性を肯定するか、否定するかは別として、目指したラグビーはできたという意味は大きいと思います。
さて、今後のチームづくりですが、FWは強さを保った上で機動力をアップしてBKとの一体感を出し、BKはFWが押された場合でも状況を変えられる力がをつける必要があるのは確かでしょう。ただ、同志社は同志社。関東学院や慶應と同じ型のチームである必要はありません。完璧でなくとも独特のくせのある同志社らしいチームであってほしいと思います。
結論を急ぐ必要はないとでしょう。ファンとしてはこの試合で得たものを来シーズンに見せてくれば言うことはないです。どのようなチームを作ってくれるのか楽しみに待ちたいと思います。

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