大学選手権

日付 12/18 12/25 1/2 1/9
相手 流通経済大学  帝京大学  関東学院大学   
得点 54-37

33-20
21-17

50- 7

14- 0
36- 7

15-31

 8-17
 7-14
 

 
場所 花園T 花園T 国立  国立
中村C   中村C   中村C      
諸隈A   諸隈A   諸隈A      
山本C   田中C 山本C 田中C 山本C     
佐藤C   佐藤C   佐藤C      
浦C   浦C   浦C      
大西C   大西C   大西C      
川嵜A 香田C 川嵜A 香田C  川嵜C      
深澤B   深澤B   深澤B      
田原C 河野B 田原C   田原C      
10 君島Ck   君島Ck 菊武@ 君島Ck      
11 正面C   正面C   正面C      
12 今森C   今森C   今森C      
13 大橋B   大橋B   大橋B      
14 宇薄A   宇薄A 森田@ 宇薄A      
15 宮本@   宮本@k   宮本@      


流通経済大学 12/18記

第一試合は後半に大体大BKが自在に走り回って逆転勝利でした。景気のよい勝利に今年の関西リーグの力は決して低くないと意を強くしました。
しかし、寒かったです。バックスタンドは日が当たっておりましたが、メインスタンドで観戦の方はかなり寒かったと思います。

<試合の流れ>
 流通経済大はモール攻撃でじっくりと攻めてきました。流経大BKは速さも戦略的なキックもなく怖さは感じませんでしたが、時にはモールにも参加してしまう変幻自在の動きを見せました。同志社は密集で絡まれてクリーンな球出しができないため、いまひとつBKを生かせない印象でした。前半、流経大のラッキーなトライやペナルティーキックがあり、同志社はセーフティーリードができませんでした。
 後半、同志社は突き放します。FW、BKともにリズムがよくなり、
継続ラグビーが完成の域に近づいていると感じさせてくれました。FWはパックになって動くので小柄ながらボールキープ力があります。機動力はかなりレベルが上がっています。BKラインはどこらからでも攻めれるので相手は的を絞させません。そのBK陣を司令塔・君島がやわらかなパスで活かし、その上戦略的なキックを使えます。最高のチームだと感じだ瞬間がありました。ただ、最後に2トライを返されてしまいその気分はどこかへ飛んでしまいました。

<印象に残ったプレーヤー>
正面

今日は正面です。
やはり正面は全国区の選手だと感じました。後半、君島とのループから3人抜きのトライはトップリーグでもみられないような芸術的なトライでした。背後にいる正面の気配だけでノールックパスを決めた君島も含めて、大舞台でこうしたプレーができるこのチームは今後期待ができると確信しました。正面がすごいのは、こうした目立つ部分ではなく、サポート役に徹するプレースタイルです。ボールを持てばあれほど目立つのに、地味なプレーも厭わない最高の選手だと感じます。チームに対する意識の強さの表れでしょう。

今日の浦は本当に強かったです。激しくラインを切り裂き、2、3人を引きずって前に進みます。これぞロックという活躍でした。

@スクラム
スクラムは押していました。神鋼合宿で指導された
ジェイク・ハワード氏の効果でしょうか。次週はFWがさらに強い帝京大。さらに進化させてほしいです。
Aラインアウト
安定してきたように思います。諸隈のスローがよく、相手にとられることが減っています。ただ、クリーンキャッチをさらに増やしていければ、得点パターンが確立するように感じます。
Bモールディフェンス
FWのディフェンスは非常によかったと思います。流経大FWの良さを殺して、好きにさせませんでした。ただ、モールでは受けてしまって押されていました。ゴール前のモールであっさりタッチを割るケースが多かったです。攻めるモールディフェンスをみたいです。
Cタックル
今森、大橋のCTBのタックルが目立ちました。
今森の押し返すタックルは流れを変えれるタックルだと思います。FWのタックルもよかったです。大西は注意も受けましたが、それほど激しくディフェンスしてくれていました。正面の相手HO湯原(103kg)を抑えたタックルもすごかったです。

 

おそらく明日の新聞などではこの試合はあまりよい評論をされないように思います。しかし、同志社の完成度の高さは十分に感じられました。ベースは十分です。すでに備えている力を発揮するだけです。ここから1試合1試合、試合に強さを表現できるチームになりうると思います。

 

 帝京大学 12/25記

FWがやってくれました。今日はFW陣が最大の賞賛を受けるべきでしょう。
大観衆がこれだけ沸き返ったのは、あの大西主将の明治戦以来で、試合展開もあの試合と少し似ていると思います。


<前半>
 30分まで、0−0の攻防が続きます。同志社は各接点で少しづつ勝ち相手ゴール陣前まで進みます。が、最後の5mが非常に遠い。帝京のラインディフェンスがオフサイドぎりぎりで早く厳しい、まさに「赤い壁」。以後の苦しい展開を予想させます。BK展開は相手のプレッシャーがきつくSOからのパスが通りません。君島がペナルティーをねらうものの、ありえないミスキックでした。
 これを打破したのは、この33分間がんばっていたFWリーダー浦です。ラインの外側でもらったボールを、4、5人に囲まれるものの一人で立ったまま耐えて待ちます。浦が驚異的な粘りで守ったそのボールを大切につないで最後は宇薄がライン際を走ってフォローした中村主将がトライ!! 宇薄がスペースのないところでうちに切れ込んで中村のコースを作ったあたりが、たくましさを感じさせます。
 さらに、そのキックオフのボールを深澤のクリーンキャッチからモールでセンターライン付近まで押しかえし、君島のスーパーキックで相手陣奥深くまで戻し込みます。そのラインアウトのボールをきっちり取ってモールで押し込んで今度はFWトライ!!
 この2つのトライで一気に同志社ペースになったところで前半終了。

<後半>
 まさに伝統の「自由に」 でした。 開始直後のキックオフのボールを味方FWが取って、そこからFW、BK一体となった細かいパスをつなぐ継続ラグビーでノーホイッスルトライ。モールトライも2つ。BKのランも光りました。キックオフのボールをいきなり回した君島、それに反応した大橋、今森。今森は負傷から復帰した直後だっただけに対応力の早さには感嘆します。君島がドロップゴールを狙ったり、こんなに楽しいラグビーは久しぶりに見ました。自由なプレーを緊迫した試合でのびのびとやってくれる選手たちはまさに全国区だと感じました。国立でも雰囲気に呑まれることない感じがしました。


 明日の新聞には戦前の予想を覆す大勝と書かれるでしょう。ここまでの点差は予想できませんでしたが、継続ラグビーが完成の域に近づいているのは流通経済大戦からも十分に感じられました。決して、この試合で一気に大化けしたのではないと断言できます。(私自身は今シーズン4試合目の観戦ですが)

<FW>
 一人で持って行く選手はいないものの、パックになってよく走ります。必ずフォローがいるのでどんどんつながります。ラックからでもモールを形成して進んでいく様子は熟達を感じました。ここまでドライビングモールを温存していたのかと思わせられました。守っては、素早く横に広がり、ディフェンスラインの上げ下げが実に巧妙。外のディフェンスにも、深澤、大西らが素早く駆けつけていました。
 ゴール前のラインアウトはことごとくクリーンキャッチしていました。佐藤の活躍もあり相手のボールを取っていました。ラインアウトが得点パターンになりました
 スクラムは劣勢でトライも取られました。ただし、これは想定内でしょう。というのも、マイボールでは劣勢を想定した対応がされていました。すばやく球出して、深澤のアタックが決まっていました。今日は深澤がこれまでより少しワイドなコースどりで相手に走り勝っていました。
<BK>
 田原はクイックスタートがあります。何よりもFW並の強さがあるので、ちょっとのことでは倒されない。君島はショートラインでもきっちりパスを通してきます。また、この日は君島の戦略的なキックが光りました。キックがよくのび、あれだけのロングキックながらダイレクトタッチは1つも無かったように思います。FW並のあたりの強さがある今森、大橋。今森はゲームメイクが、大橋は継続ラグビーの球出しを下支えしてくれています。もちろん、ランもすごい。密集でも必ず前進してくれる正面、狭いところでもなぜか抜ける宇薄。ライン参加してポイント作りをしてくれる宮本。誰もが走りきる力を持っているので、どこからでも隙あれば一気に決めてくれる迫力があります。


その他、言わずもがなですが・・・
@攻めている時の集散
 攻めているときのフォローがまだ遅く感じます。個々が接点で勝っているので、ボールをキープでき事なきを得ますが、帝京ディフェンス2,3人を1人でしのぐシーンが特に前半に見られました。
A君島
 君島がハンドオフで抜いていく様子は独特でなかなか捕まらないです。大西将太郎ボディーコントロールとは違うものの、だれかに似ていると思っておりましたが、綾城氏の神戸製鋼時代の老獪なプレーと似ていると今日は思いました。
B正面
 一度死んだボールを再生してくれます。何度あったでしょう。密集で一度止まったものを再度動かすのはものすごいことです。
CFWの早さ
 今森のゴール前までのロングゲインをフォローした佐藤のスピード。止まっている状態からでもトップスピードを出せる諸隈。中村主将も田中も走れます。これほどスピードのあるFW12列は驚異です。3列は言うに及びません。FWはBK並の走力といえるでしょう。それが試合終了まで衰えないのがなお驚異です。
D大西
 いつも下働きに徹してくれている大西のトライがなんと言ってもうれしいトライでした。この日はボールを持ってのゲインが多く、かなり目立っていました。
Eディフェンス
 スクラムトライ1本だけに押さえた最後まで切れなかったディフェンスが今日の最大の勝因だと思います。特に両CTB、両FL、両WTBのタックルはドンピシャで決まるので効果的でした。宮本の危機の未然防止をしていた食らいつくようなタックルもよかったです。
Fラインアウト、モール
 今日は非常によかったプレーです。ただし、それが次回は通用するかどうかはわかりません。モールはある程度計算できますが、今日のラインアウトは疑問です。帝京大は正LO陣が欠場のためか、相手ボールのラインアウトは競ってきていないことが多かったです。関東学院のラインアウトはシビアなものだと思います。ラインアウトが取れないと、今日のようなリズムで試合できないと思います。ラインアウトのさらなる進化と、とれない場合の想定も必要だと感じます。
G球出し
 継続ラグビーは球出しが生命線だと思います。前半の膠着状態で展開でTBまでボールが回らなかった際はラックからの球出しが遅かったです。@の攻めているときのフォローとリンクすると思いますが、攻めているときのラックでのスイープ役が重要になると感じます。

全員が走力があり、ボールを持てば目立てるプレーヤーです。そうした選手たちが、地味なプレーを厭わずやっている様子は感動せずにはいられません。個人が依存しあうのではなく、独立しつつ一致団結しているのが今年のチームだと感じます。
冒頭の通り盛り上がりはあの明治戦に近いものがありました。ただ、あの明治戦と違うのは、FW、BKの力が厚く組織的な部分だと思います。そして、あのときよりも負傷者が少ない点だと思います。最後に足を痛めた君島は大丈夫だろうか。

 

 関東学院大学 1/2記

何が足りなかったのでしょうか。
環境に関しては足りないものは同志社にはたくさんあるでしょう。しかし、足ることを知るスタッフや選手たちは、今ある環境の中で工夫を凝らして十二分に努力したはずです。足りないものなど何もないです。ただ、関東学院大学は強いということだと思います。

<前半>
前半3分。マイボールスクラムから出したボールを君島が中央付近で縦を突いて、さらにFWの選手がついて相手FWを引きつけたところを、田原の早い球出しから今森が飛ばしパスで宇薄がライン際を駆け抜けて先制トライ。その後、ペナルティーキックで3点加点も、ラインアウト、スクラム、ブレイクダウンで試合が進むにつれて劣勢に。BKも相手ラインが揃い仕事をさせてもらえない状態。だだ、関東学院にもミスがあり、なんとか持ちこたえてロースコアーでハーフタイムに逃げ込んだ印象でした。
<後半>
後半は関東学院の一方的な展開の予感がしました。しかし、同志社FWが勝負にでました。相手ゴールライン前でモール攻撃。たまらず相手がモールを崩そうと反則。それでもFWでモール攻撃。そして後半10分頃、モールで相手FWを絡め込んだ後に、BKに展開。外に2枚残しながら正面が中央にトライ。完璧なトライでした。
その後、同志社がボールを持って攻める時間は長いですが、きれいな球出しがさせてもらえず、リズムに乗れないでいました。BKで勝負するにも雨でボールが滑りやすく、そうこうするうちにターンオーバーを基点とする相手の攻撃の前に点差が広がってしまいました。何度かペナルティーキックを狙えるシーンもありましたが、同志社はアタックにこだわり、潔く散っていきました。

2トライは完璧でした。やりたいことが見えた意志通りのトライ。本当にこのチームはすごいと思いました。その一方で、関東学院はラッキーなトライも含めて、一発で持って行ったトライが多かったです。ただ、そこに関東学院の底力を感じました。

この試合を分けたのは3つだと思います。
@オフェンス
接点で個々は負けていない思います。しかし、攻撃時にペネトレーターに対する相手ディフェンスの集まりが非常に早く味方は遅く、孤立してしまう場面が多かったです。相手の方が優勢なので、球出しが遅れる上に、ラックにかける人数が相手よりも多くなる分だけラインの方は数的に不利となっていました。結局、多くの場合はポイントの作り直しになっていました。
・ラックでは相手ディフェンスの圧力が相当あったようです。オフサイドあるいはオーバーザトップ気味なほどに前に出る圧力がありました。SHへの絡みもきつく、球出しを遅らされて生きた球がBKにでない状態でした。特に相手LOの長い手には苦労したようです。反則と思われる場合には、田原はあえて球出しをせずにレフェリーにアピールしていたようですが、認められずに攻められたケースもあったように思います。
・ルーズボールへの働きかけは1人目は同志社が勝つことが多かったように思いますが、2人目のスイープ役が続かないケースが多かったです。特に大橋、今森の両CTBが付近にいない場合に。
ブレイクダウンで相手の早さ(速さではなく)と、ラックでの相手のしつこい絡みに、リズムがつかめませんでした。密集付近での技術力の差なのか、それとも個々の判断力なのか、あるいは個々の身体能力によるものかわかりません。しかし、もっと単純に個々が闘争本能を表に出すかどうかに差があったようにも思います。
関東学院の選手はオフサイド位置から帰る際にも、じゃまするコースを通っていたようです。おそらく老獪さも含めて「密集技術の伝承」があるのでしょう。
Aディフェンス
・相手の誇るバックスリーの突破はよく止めていました。有賀もほぼ止めていましたが、人数を要するため、フェーズが上がるとディフェンスは数が不足気味でした。
・特に両CTBへのディフェンスの依存度が高いため、めまぐるしく攻守が変わる展開では、オフェンス時も核となるはずのCTB陣2人が不在というケースも有りました。
ディフェンスは帝京大戦と同様スピードのある攻撃的なディフェンスが見られました。密集でのディフェンスを分類して、「人数をかけずに相手にボール出させて再度止めるつつ追い込んでいくもの」と「人数をかけても相手の球出しを遅らせあわよくばターンオーバーを図るもの」があるとすると、どちらかというと同志社が前者で関東学院が後者だと思います。しかし、この試合は自動的に密集に人数を要するのため、人数をかけるのに相手にクリーンな球出しをされる状態でした。
Bセットプレー
・アインアウトの獲得率が特に前半低かったです。帝京戦ではペナルティーから君島のキックでできるだけ陣地を稼ぎ、マイボールラインナウトでボールキープからモール形成というのが得点パターンだったことを考えると大きな柱を失いました。ただ、後半の後半に持ち直した修正能力は以前には無かったものだと思います
・スクラムは相手の方が強い中、よく耐えたと思います。ただし、自陣での相手スクラムはある程度覚悟しなくてはならないため、スクラムに起因するトライは2くらい想定しなくてはならない状況でした。
ラインアウトは前の試合で成功した方法は次の試合では通用しないもののようです。特に関東学院、早稲田のようなスカウティングが高度なチームにとっては、データ通りの戦い方では餌食になるそうです。この試合のラインアウトは、自滅のようにも見えましたが、実は関東学院の選手がジャンパーに働きかけたり工夫していたようです。(ビデオで復習します。)失礼ながら、帝京と関東学院ではレベルが違うのでしょう。

単純な力の比較では関東学院が上回っていると思いますが、それでも勝つチャンスはあったと思います。正面のインターセプトが決まっていればとか、前半の君島のペナルティーキックがいつものように決まっていればとか、後半のペナルティーでキックを選択しておけばとか、雨でなければとか、いろいろあります。どこかで一つでも決まっていれば、流れが変わったかもしれません。それほど、実力差を感じない試合で、かつてのように「関東の壁」を感じません。
勝負は相手があるので、勝った負けたは時には仕方ない面があります。ただ、確実に言えるのは同志社は強くなっていますフィットネスとラインディフェンスは4強のどのチームにも負けていないと思います。それと継続ラグビー。FWは骨惜しみなく走り回るし、BKはプレッシャーを受けながらでも、細かいパスを通すことができます。継続ラグビーは成熟期を向かえていると思います。来年はさらに強くなってくれると思います。
今年のチームで試合することはもう無く、もう見られません。本当に残念です。4回生のこの日の姿は決して忘れません。4回生の皆さんは卒業しますが、チームは継続します。方向性に間違いはなく、これを継続して進化させることで、4回生に報いることができると思います。

雨の中で戦う選手たちが本当に逞しかった。

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