’2004を振り返って 1/12記

メールおよび掲示板で頂いた意見と、プレス情報および一部の関係者のコメントを含めて、独断でまとめます。

 組織としてのハード、ソフト面
準決勝で体力負けを含めて、すべの面で負けていたという意見も多く、インフラ整備を望む声が例年よりも大きいです。長年の課題でもあり、なぜ今年に限りこれほど声が大きいのか不思議な面もありますが、スタッフからの示唆が影響しているのだと思います。
@インフラ整備
グランドの2面化、芝生化。専用トレーニングジムの充実。寮の食事補助。田辺・今出川間の交通の便など。
どれ一つとっても、大学側などとの連携の必要な費用のかかる問題ですが、最低限、衣食住の整備は必須だと思います。ただ、食事付きの寮が無いことが体力強化の最大のネックかというと疑問もあります。’97入学の尾崎、堂守、田中、林、大西らの選手が、日を経るにつれてビルトップして最強FWに進化したのを考えると、
努力でカバーできる部分はあると思います。とりわけ、田中選手は工学部で食事に加えて睡眠時間も満足では無かったように聞いています。
Aスタッフの充実
平日指導できるコーチ陣の確保。トレーニングコーチの確保。栄養士の確保。
現在のスタッフもボランティアというよりも、私財をなげうち、仕事を犠牲にして協力をされています。あまり軽々に述べることができませんが、スタッフへの補助が少しでも増やしていくのが第一歩だと思います。現実的に田辺周辺に職場またはご家庭のある方は多くはないでしょう。年間を通して平日ご指導頂けるコーチの確保は難しい問題です。
B選手確保
来年の新入予定者が豪華なこともあり、選手確保の話はあまり出ていません。しかし、例年は多くの有力選手が入部するわけではありません。高校時代に実績のある数名の選手が目立つため「同志社は他校もうらやむ人材」と形容されることが多いですが、実は人数は多くなく、主力選手がケガをすると、成績に大きく響くという現状があると思います。
系列中学、高校との連携を強化して、学校法人同志社としてラグビーユニオンのようなもの作ろうという意見は興味深いものでした。慶応義塾で上田総監督が中心となり慶応全体としての取組をされていると思いますが、このような取組は非常におもしろいと思います。

チームづくり
@基礎体力の向上

インフラ整備と強くリンクしますが、今シーズンは春先から体力強化に力を注いで、その成果は十分に出たと思います。
昨シーズン、特筆すべきは試合後半でもスタミナ切れしない持久力をつけたことですが、今シーズンはそれに加えて強さ速さが増してきました。ただ、それでも、さらなる強化が必要だと思います。適切なフィットネストレーニング、適切な食事、休息の三要素の充実は必須だと思います。体力作りは一大テーマとして行うのではなく、意識しなくても当然のことにならないといけないと思います。毎日の日課としてフィットネス、食事、睡眠があり、それをコーチ陣が指導する段階を超える必要があると思います。
コーチ陣はスキル指導に専念してもらえるようになればと思います。
Aセットプレー

スクラム、ラインアウト
スクラムの強化は比較的環境は良いと思います。関西リーグにはスクラムの強いチームは多いですし、来年はさらにレベルアップすると思います。関西他校と垣根を越えてスクラム練習することも、お互いのレベルアップになるはずです。関西のチームが関東に負けないように連合を組んでほしいと切に思います。
マイボールのクリーンキャッチは大前提として、相手ボールでもプレッシャーをかけられなければ、容易に早い球出しをされてしまいます。ラインアウトは関東対抗戦、リーグ戦、関西リーグ各校の技術を感覚的ではなく何度もビデオ分析することからはじめるべきだと思います。良いところは取り入れ、採用しなくてもわかっていると対策も練れるでしょう。
B戦略的なキック

相手のディフェンスラインの出足を止めるキック、陣地を奪うキック、そしてキッカーと周りとの連携。これは同志社に長年欠けている点です。”いけいけ時代”以来、同志社ではキックは攻撃権の放棄としてネガティブなイメージがあります。しかし、
蹴れるけれど蹴らないのと、蹴れないから蹴らないは違うと思います。蹴れると相手キックへの対応も違ってくるはずです。
C各自の役割

選手権の決勝を国立で見ましたが、両チームとも球際での強さが尋常ではありませんでした。形容のしようがないのですが、まるで強力な磁石の
SNように体ごとボールに飛びついていました。よく見るとボールに飛びつくのではなく、ボールの前に飛び込んでボールと相手の間に壁を作っていました。トライよりも重いプレーという意識があるとさえ感じました。ただ、そういうプレーを誰もがするかといえば、それは違うようでボール奪取担当、それをフォローする担当、ペネトレーター担当などに分けられているようです。全くの推測ですが、ラインの中で隣り合う人によって誰が何をするのかを決めているのではないでしょうか。もちろん、状況により隣の人は変わりますから、いろいろなバリエーションがありますが、これを練習によって自動的に動くくらいまで養っているのでしょう。これが組織力なのかもしれないと感じました。
Dペネトレーター

ペネトレーター担当をできる強力な選手が必要に感じます。
FWに2人いれば良いと思います。それ以上は必要ではなく、バランスが重要でCの通り、ボール奪取担当、それをフォローする担当の機動力のあるとりわけ初動の早い選手が必要だと思います。スクラム、ラインアウトとの関係もありますが、バランスが取れた構成が必要だと思います。ジャパンのメンバーを見ると、どうしても各チームペネトレーター担当の集まりでオールスターになりがちですが、本当はボール奪取担当、フォロー担当を入れるべきだと思います。
ペネトレーターは体格がある程度必要で素材の面が重視されるかもしれません。
LONO8であれば最も良いと思います。
E七転び八起き

決勝を観戦して一番思ったこと。スキルが高いことでも、体力があることでもなく、
倒れた選手がすぐ起きて次のプレーに備えることです。倒れたらすぐ起きあがってラインに並ぶ、これが自動的にできるほどに身につける必要があります。これほどつらいことはないと思います。チームをあげてみんなでやらないとできないでしょう。ただし、やればかならずできるプレーです。

 言うは易く行うは難しです。どのような実践を見せてくれるのか非常に楽しみです。

 毎年同じことを書きますが、完全なチーム を望んでいるのではありません。完全だから愛されわけではないと思います。
毎年、それぞれに独特のくせのある愛すべきチームです。来年度にも期待します。

 

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