大学選手権

日付 12/19 12/26 1/2 1/9
相手 筑波大学  慶応義塾大学  早稲田大学  
得点 43-36

15- 8
26- 5

35-24

35- 5
 0-19

17-45

35- 5
17-19

 
場所 花園T 長居U 国立 国立
児嶋C   児嶋C   児嶋C      
中村B   中村B   中村B      
山本B   山本B 田中B 山本B      
田原C   田原C   田原C      
浦B   浦B   浦B      
峠C   峠C   峠C      
大西B 高橋C 大西B 深澤A 大西B 深澤A    
深澤A 海本A 高橋C   熊谷C 高橋C    
竹山C   竹山C   竹山C      
10 今森B   今森B   今森B      
11 大橋A   大橋A   大橋A      
12 仙波C   仙波C   仙波C      
13 平C 淺田B 平C   平C      
14 宇薄@ 田原B、鈴木C 宇薄@ 海本A、鈴木C 宇薄@      
15 正面Bk   正面Bk   正面Bk      


筑波大学 12/19記

選手達は死力を尽くして、勝利をもぎ取った試合でした。関東大学対抗戦5位の筑波大に対して、予想以上の接戦になりました。楽観もできませんが、悲観的になる必要はない内容だったと思います。数字で は実力が計れないことがやがて証明されると思います。

選手権に出場しているほとんどのチームの基本攻撃パターンは、まずはFWを中心にタテをついて相手の守備陣形を崩してから、BK展開できめることだと思います。もちろん、タテを突く場合の狙う chや、モールにするしない、キックを使う使わないの違いはあります。
同志社もこの基本形は変わりありませんが、特徴的なのはFWでタテをつく際に力でクラッシュを図るよりも、FW同士で細かいパスを繋ぐか、BKも絡めてパスを繋いで、相手の目先をずらした上でタテを突く点です。今日は心配された雨天は避けられ、細かいパスはよくつながりました。しかし、ここから 一点突破はほとんどできませんでした。これが、この試合の大接戦の要因だと思いますが、特に以下の2点が気になりました。
@細かいパスをサインプレーとして繋いでいて、相手を見てギャップを突くことができていないようでした。筑波は特に内に返すパスは読んでいて、人数を掛けて間合いを詰めてきました。スピードが出ない段階で当たられるので、ゲインができないようでした。
Aその後、捕まってラックができた際に球出しが遅いように思います。遅いというのは相手の守備陣形の回復速度よりも遅いという意味ですが、対応されているためフェイズを上げても打開できませんでした。

筑波大のディフェンスは3、4年前の法政大を彷彿とさせました。ただ、法政のスピードにのったディフェンスラインはすれ違うと抜けてしまいますが、筑波は間合いを詰めると足を止めて隣と息を合わせて見て きました。ラインを動かしても常に一本の線で前後に乱れないのは見事でした。細かいパスでずらされた場合にも両側の2人が同時にタックルに入れるほど連携がうまくいっていました。

一番取りたい理詰めのトライが取れない試合でした。きれいに決まったのは今森の1本だけでしょう。同点に追いつかれ14人で、ロスタイムに入りますが、そこから相手の攻撃をしのいでドライビングモールからトライを取れたのは地力のある証拠だと思います。 (トライは竹山の復帰後)この試合は前半から2回戦以降を意識して、FWのモール攻撃を減らしていたと思いますが、それが筑波にディフェンスに的を絞られて大接戦になった原因でしょう。なりふり構わずに勝負をしたのは最後の2、3分だけだと思います。 自陣からのモールも混ぜると相手FWが自動的にはディフェンスラインに参加できません。次は慶應義塾大に同志社の実力を引き出してもらえるような試合になってほしいです。

 

ディフェンス面での課題もありますが、それよりもこの試合で印象に残ったプレーヤーを数人。
○大橋
見切ったようなビックタックルが局所で流れを変えていたように思います。第一試合を含めてこの日登場した選手の中で一番低く刺さるタックルを決めていました。
○竹山
竹山の相手を見て隙を突く動きは見事でした。ただ、時に味方をも置き去りにしてしていました。竹山の突っ込みすぎと言うよりも、今後は彼の動きが数少ないビックチャンスメイクになると思います。 筑波も決め事のプレーには対応できましたが、竹山のアドリブのプレーには攪乱されていました。宇薄、正面、児嶋らのサポートに期待です。前半に相手ゴール前のモールから竹山がスッとモールサイドに移動して、モールからパス を受けてトライといったシーンがありましたが、非常にうまかったです。パスしたのは中村だと思いますが、竹山の動きをよく見ていたと感心します。
○峠、大西
関西リーグ最初からの不動のコンビです。最初は彼らの動きはあまり印象にありませんでした。ボールを持っての派手なプレーはありませんが、ディフェンスでも、オフェンスでも俊敏な動きでスペースを埋めてくれています。モールで球出しを助けているのも彼らです。ルースボールへの体を張ったプレーにさらに磨きをかけてくれるのが、今後の試合のカギでしょう。

 

慶應義塾学 1/1記

この試合はビデオ観戦でした。
選手権に入ってからキーワードになっているch0が勝負を分けました。オフェンスはFWが接点で当たり勝って前に進んでくれました。BKのペネトレーター平の復帰で的を絞らせなかったのも大きかったと思います。ひとたび前に進み出すと、本当に強いです。15人がFW、BK関係なく機能していました。平がSH役で球出ししたボールをSOの位置の竹山が受けてボールを回すシーンが象徴的でした。
ディフェンスでは第3列のスクラムの離れが早く、密集サイドもFWが固めて、ch0でのミスマッチを起こしませんでした。どこへでも一番に駆けつける児嶋の働きが非常に大きいと思います。

○前半は一方的な展開で、今シーズンは黒子に徹してくれているLO陣、FL陣もよく目立ちました。LO陣は突破役を果たしてくれると流れが加速します。とりわけ田原がキバを剥いたところをはじめて見ました。密集サイドの高橋の突破はスピードが、FL陣はよくサポートしました。今森はギップを突くランと、FWを前に出すキックが完成度を増しています。
○後半はシンビンもあり、ハンドリングエラーが多発したこともあり、密集での反則も多く、前への勢いを継続できず得点はできませんでした。やられたという内容では無かったですが、攻撃をトライで終われない、射程距離が短かったところは要注意です。

慶応としては筑波が同志社FWを止めていたことが、マイナスに作用したと思います。特に前半は止められると思っていたのが思いの外、攻め込まれたことで、想定していたプランが崩壊したようでした。競技場が不利に働いたこともあるでしょう。長居の枯れた芝で足を滑らせているシーンがありました。また、インゴールが狭いため、得意とするディフェンスの裏へのキックが使いにくかったのではないでしょうか。後半が本来の力だと思います。

<早稲田戦に向けて>
NO8熊谷が復帰します。慶応戦での高橋のch0の突破は満点でした。それをスタンドで見ていたのが熊谷です。まず、ch0を突破できないと大変厳しい試合になります。この試合で通用したことは通用しないでしょう。数少ないペネトレータである熊谷がキーマンだと思います。

FWはポイント到達で児嶋の先を越せる選手がどれだけ出るかがポイントです。ディフェンス力はもともと高いので、相手よりも早く移動できるかどうかです。早稲田のBKはFW並の選手が多いので、相手BKのディフェンスにもFWの力が必要です。司令塔・今森を守ることも、BK展開のカギとなります。

攻撃ではバックスリーが一発で決めてくれるトライが必要です。かつて同志社の黄金BKというと、”強い早い”というイメージは強いものの器用さにやや欠けていました。今年は”強い早い上手い”3人です。数少ない隙をついてトライまで持って行けるかがカギと思います。一瞬でも迷うとデフェンス網にかかります。強引にでも持って行く暴走がみたいです。

 

早稲田学 1/3記

通用した部分が見あたらない」(朝日新聞1/3朝刊)
仙波主将の試合後のコメントです。素直な言葉です。重い課題だと思います。この試合は私のつたない観戦記よりも、関係者の言葉から同志社の課題を読み解いていきたいと思います。

この試合を簡単に振り返ると、このような感想が多いように思います。どうでしょうか?
@ 接点で個々が負けていた
A @により、予定外に密集に人数を掛けてしまった
B @により、密集からの球出しも遅くなった
C ABの結果と倒れた選手の戻りが遅いことから、攻めていても相手よりもラインの人数が少なくなり、ミスやターンオーバーされてしまった

果たして、本当にコンタクト負けがすべてなのでしょうか?
例年、BKは大学一と言われながら力が発揮できない原因を圓井監督は「FWが当たり負けしていること」と分析して、見事にFWで勝てるチームを作り上げました。('99、'00の大学選手権の観戦記をご参照ください)  今回も果たして、それがすべてなのでしょうか。
早稲田の清宮監督は試合後のインタビューで「同志社がやることはわかっていた」と述べられています。「
去年は前半に受けに回って後半はキックオフから追い上げることができたので、今年はゴール前以外は繋いでいこうとしました。」(仙波主将) 昨年の早稲田戦の後半の攻撃を前半からやろうとした同志社と、それを完全に読んでその1点に絞って対策を打った早稲田ではないでしょうか。早稲田デのィフェンスラインの速さと厚みは、同志社にはラインの裏を狙うキックはないのがわかっていたからできたのだと思います。やることが1つだと疲れていても痛くても自動的に動けます。選択肢があり判断を要すれば、疲れるほどに動きは鈍ります。

中尾監督「セットプレー、特にラインアウトの精度が悪く、スクラムも受けてしまいました。それが今日のゲームのすべてです。
清宮監督「
選手一人一人の力では同志社は何人も早稲田より強い選手がいると思いますが、唯一の差は、スクラムでした。
清宮監督のコメントは額面通りに取れない部分はあります。ただ、個人のコンタクトが負けていたのではなく、スクラム、ラインアウトのセットプレーを支配されたことが大きいと思います。もうひとつ、フェーズの低い段階(2次、3次攻撃およびターンオーバー時)でのモール、ラックからの攻撃を封じられたのが大きいと思います。つまり上で挙げた@が出発点ではなく、下記のようだと思います。
@ スクラム、ラインアウトのセットプレーを支配された
     フェーズの低い段階でのモール、ラックからの攻撃で有効なゲインができなかった
A @により、予定外に密集に人数を掛けてしまった
B @により、密集からの球出しも遅くなった
C その結果、攻めていても相手よりもラインの人数が少なくなり、圧力がBKにもかかり展開できず、ターンオーバーされてしまった

繰り返しになりますが、この試合をわけた根本的な部分は以下の2点だと思います。 その結果としての当たり負けがあるのだと思います。これが「圧倒的な差は感じていない(仙波主将)にもかかわらず、圧倒されたような試合になった原因だと思います。
・セットプレー
スクラムで圧力をかけられてボールを奪われたこと。相手ラインアウトにプレッシャーはかけられず、マイボールラインアウトはプレッシャーをかけられてすばやい球出しができなかった。
・モール、ラック
低いフェーズでゲインできなかったこと。それにより、攻める程に攻撃側の人数が減り、BKへの生きたボール供給が封じられた。

その上で、以下の点が気になりました。
・集散の遅さ
児嶋に並ぶ出足の速い選手はこの日も現れませんでした。ボール奪取、サポート、ディフェンスと孤軍奮闘の感がありました。これがあと1人でもできると違っていたと思います。FWの突破でも単独突破が多く、ペネトレーターに寄り添うようにつくサポートがほとんどありませんでした。
・大駒の不在
早稲田のFWの大駒・桑江、佐々木、伊藤はほとんど止めていました。ただし、彼らの防御に人数を掛けたために、他の箇所が薄くなりました。結果、SH、SOに翻弄されるケースが多かったです。やはりペネトレータの存在は彼らが抑えられたとしても大きいものです。同志社のFWで相手にマークされる選手はいなかったと思います。
・キーマンのバックアップ
球出しから突破まで、竹山への依存度が高いように思います。平、正面とともにマークされていたため、密集に巻き込まれると、その役割を果たす選手が不在のため、球出しが遅れていました。正面が攻め上がった場合の最後尾の守りも不在になっていまいした。早稲田の狙い通りだと思います。
・キック
陣地を奪うキック、相手の出足を止めるキック。戦略的なキックが見られませんでした。ラインアウトとともに伝統的な課題です。
 

<今後に向けて>
・フィットネスの向上
らくがき帳の
513に投稿頂いているようにコンタクト負けはしていないと思います。BKは相手FWと対等に渡り合っていましたし、FWは機動力、スタミナがあります。それでも、関西リーグでもあり、ある程度の苦手な部分が残ることを想定すれば、さらなるFWの強化により「FWから」といえるチームにする必要があるでしょう。そのためにはらくがき帳509546で指摘されているように、「栄養」がキーワードになるのでしょう。同志社のすべての体育会にいえることだと思いますが、衣食住の充実が望まれます。
フィットネスに関する環境改善には時間がかかるかもしれませんが、フィットネス向上自体は早稲田の今村選手や五郎丸選手が1年目から高校時代とは見違える体格 に変身して活躍したように、2年、3年といった期間はかからないはずです。短期間に結果が出るはずです。
・攻め手のバリエーションを増やすこと
相手にあわせて、作戦を変更できるだけのバリエーションが必要だと思います。想定した攻撃が通用しない時点で終わりではなく、そこから本当のラグビーがはじまります。「ここでは練習でやってきたことしか出ない。」(中尾監督)のも事実だと思います。サインプレーの数を増やすという意味だけではなく、バリエーションを増やす必要があると思います。

BKはよかったが、FWが負けていた」という結論では前進はないと思います。
この1年間悩み抜いてきたのはスタッフと4回生であることは間違いありません。下回生にもわからない事実がたくさんあると思います。仙波主将、平副将、田原副将をはじめてとして、4回生にこの試合及び1年について振り返ってもらい、引継ぎをしてもらうことが重要だと思います。また、0からではなくこの財産を継承することが、大学日本一へのカギだと思います。

<謝辞>
クラブ活動としてのスポーツを勝手に応援させてもらっていました。過分なこともたくさん書きました。法政グランドでの試合を見て以来、これほど心躍らされたシーズンは少ないです。本当に楽しませてもらった’04でした。
4回生の皆さん、本当にありがとうございました。4回生として迎えるシーズンは1度だけです。今体験した頭でもう一度1年過ごさせてあげたいとどれほど思うことか・・・。社会はあたたかくそして厳しく迎えてくれることでしょう。社会人でラグビーを続ける方はいつまでも応援します。

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