大学選手権

  1回戦 決勝リーグ 決勝リーグ 決勝リーグ 準決勝
日付 12/14 12/21 12/28 1/2 1/10
相手 日本大学 帝京大学 明治大学 関東学院大学 早稲田大学
得点 57-29

19-12
38-17

22- 5

 5- 0
17- 5

64-40

22-28
42-12

22-66

12-24
10-42

33-38

14-31
19- 7

場所 花園T 花園T 瑞穂 花園T 国立
児嶋B   児嶋B   児嶋B   児嶋B   児嶋B  
荻原C   荻原C 中村A 荻原C 中村A 荻原C   荻原C  
山本A   山本A   山本A   山本A   山本A  
望月C   望月C   望月C   望月C 山本C 望月C  
浦A   浦A   浦A   浦A   浦A  
飯尾C 高橋B、山本C 高橋B   高橋B   高橋B   高橋B 山本C
中山B   中山B   中山B   中山B   中山B  
端迫C   端迫C   端迫C 山本C 端迫C   端迫C  
竹山B   竹山B   竹山B   竹山B 十川B 竹山B  
10 今森A   今森A   今森A   今森A 峠B 今森A  
11 正面A   正面A   正面A   大橋@   正面A 大橋@
12 仙波B   仙波B   仙波B   仙波B 岡本B 仙波B  
13 平B   平B   平B 大橋@ 平B 浅田A 平B  
14 鄭A 福田C 鄭A   鄭A   鄭A   鄭A  
15 吉田Ck   吉田Ck   吉田Ck   吉田Ck   吉田Ck  

感想

日本大学 12/14記

2週連続の花園での観戦でした。先週の社会人と比べるとかなり見劣りするだろうと思いながら、グランドに足を運びました。実際、ディフェンスフォーメーション、パスの精度、スクラム、ラインナウト 、そして何より体力と、何をとってもレベルは歴然としていました。それでも、今日は2試合とも見応え がありました。ラグビーは技術だけでない、見ているものを熱くさせるのは他のところにあると感じました。

同志社に関して、まず、驚かされたのは試合前のアップでした。選手権の試合前のアップはいつも緊迫したものですが、今日は悲壮感にあふれていました。私語や笑みなどみせる選手はおらず、 アップとは思えないほど力の入ったものでした。時折、弘津コーチの指示が聞こえるだけで、緊張感のある沈黙が続きました。あまりの緊迫感にファンも圧倒されていたと思います。あたりはたくさんの人がいるのに静寂でした。アップを終えてグランドに向かう選手たちに自然と拍手が起こったのも記憶にないです。 決戦前のこの雰囲気は大西主将時の明治戦前を思い出しました。

次に驚かされたのは試合開始直後。同志社フィフティーンの 動きです。相手の動きへのレスポンスがすばらしく、全員が骨惜しみなく走り回っていました。まさに最初からエンジン全開でした。結果的に最初のがんばりが勝敗を決定づけたようにも感じます。
その後、前半10分には飯尾主将が負傷退場、そのすぐあとにはFWのトライで先制点をあげますが、その後は日大ペースで試合が進みます。それでもゴールを背にしても、望月、荻原を中心に必死のディフェンスでゴールは割らせません。しかし、日大WTBに再三好走されるなど2トライで逆転されてしまいます。同志社はランアウトの不安定とノックオンが響いてリズムにのれません。突破口を開いたのは荻原の密集でのボール奪取と竹山の俊敏なフォローでした。これで同点に追いつくと、前半終了間際にも今森のハイパントをキャッチした相手を吉田がなぎ倒し、FWの突破からの正面のトライで逆転しました。

後半にはいると同志社がペースをつかみます。最初のトライは望月のステップから、端迫がフォローしてトライ。この後、また日大にトライを返されますが、端迫のサイドアタック、鄭のタックルなどでリズムがよくなり危なげのない試合展開に。正面のステップで大きくゲインして、フォローがやや遅れるも正面がボールをキープし、つないだFWのタテ突破からラインに展開して鄭がトライしたの圧巻でした。相手ラインを1点突破して、相手ラインの裏にでてしまえば、あとは自由自在の感じでした。最後に2トライをとられたのは勝敗はついたあとで、気の緩みもあったのかもしれませんが、試合を通して相手のターンオーバーや2次攻撃の際にディフェンスにできる穴は気になりました。

その他、気になった点を少々。
@スクラム
これは意見の別れるところだと思いますが、ほぼ互角であったと思います。山本が強く何度か回しては相手ボールをマイボールにしてくれました。日大のスクラムは関東学院にも通用するものだけに期待がもてます。
Aドライビングモール
この試合ではよく押していました。崩れかけても、組み直すなど、高度な技術もマスターしているようです。
Bラインアウト
前半は苦労しますが、後半はマイボールはほとんど獲っていました。今後はキックが多くなるだけに、スクラム以上に勝敗を分けるものになると思います。
C一点突破
一度相手の裏にでると、竹山、今森のHBの素早い球さばきから、あっという間にゴールに運ぶ力をBKは持っていると思います。それだけに一点突破できる選手にトイメンからずれた状態でボールがわたれば、トライの量産につながると思います。

何はともあれ、勝つことが大切な試合でした。勝ち方やきれいなトライにこだわる必要はないと思います。ただし、ディフェンスは気になります。相手にボールもって走られる距離が長く、攻守の切り替えを素早くすることとカバーディフェンスが今後は重要になるでしょう。3試合を一つ一つトーナメントの気持ちで戦ってほしいです。

 

帝京大学 12/21記

今日はここ数年でもっとも気持ちのよい試合でした。大西主将の明治大戦以来かもしれません。ここまでやってくれるとは思いませんでした。今日はグランドに足を運んでよかったと思わせてくれる試合でした。特に試合終了間際のゴール前のディフェンスが印象をよくしています。同時に2人が上と下にタックルし、相手がラインを超えてもダウンボールさせずに押し戻してしまうという信じられない光景でした。

前半はスコアが示すとおりの一進一退の試合展開でした。お互いに堅いディフェンスというよりも、ここ一番でミスをして点にならないという印象でした。とりわけ同志社は今森のキックなどで相手陣に入るものの点を取って帰れない展開が続きました。FWが精神的に疲労しないか心配でした。とりわけはじめから均衡しているスクラムで力を使っているであろう第1列が。しかし、それは取り越し苦労に終わりました。30分くらいに竹山の突破から仙波とつないで鄭が決めたトライが大きかったです。それもラッキーなものでなく、きっちりとしたトライであったので、自信を持てたと思います。それと相手ボールのスクラムからのディフェンスで、ピンチを未然に防止し続けていてくれていた竹山の出足の速さが得点につながったのがよかったです。得点にならなかったものの終了間際の竹山のアタックも圧巻でした。

後半にはいるとFWのスタミナの差が徐々に出てきました。スクラム、モール、ラックなどで強さでは相手の方がやや上という感じでしたが、機動力では負けていませんでした。それが後半の体力的に厳しい時間帯になって、集散の差となって現れてきました。ラインアウトの安定もあり、SOがCTB陣にボールがまわせる機会が増えました。CTB陣はボールを持つと何とかしてくれるという雰囲気があります。仙波はポイント作っては確実に味方にボールを出していました。1次攻撃では帝京の横一列に並ぶラインには穴はないですが、平のタテ突破は非常に有効でした。そこで少しでも相手の陣形が乱れると竹山のギャップをつく才能が光ります。
後半最初のトライはラックからのライン攻撃から最後は正面が決めるという理詰めの得点でした。その後の正面の一人で持っていったトライは花園を興奮の渦に巻き込みました。ペナルティーキックを決めて22−0となりますが、そこから帝京が攻めます。1トライは奪われますが、同志社がディフェンスよく、しのぎきっての快勝でした。

本当にいい試合でしたが、帝京のミスに助けられた面の大きい試合でもありました。地の利もあったと思います。今後はもっと厳しい試合になるでしょう。気になるところをよかったところとあわせて。

○荻原
ゲームリーダー荻原のキャプテンシー。コーチである弘津氏を彷彿とさせるような体を張ったボールへの働きかけがチームを引っ張りました。ラインアウトの際のスロワーもオーラが感じられました。スロワーには相手も威圧する存在感が必要だと感じますが、そんな雰囲気を感じました。また、ペナルティーキックを使うという戦術も試合を通して一貫しており、よかったです。
○ディフェンス
SO、CTBとFLのディフェンスがよかったです。ここ数年はFWとSOの間、SOとCTBの間のSOの周りに穴が空くケースが多く、1発で抜かれることも多かったですが、今日はほとんど完璧でした。それを支えたのが、倒れたらすぐ起きて動くという基本であったと思います
○ラインナウト
日大戦に続いて、前半はマイボールラインナウトをとられるケースが多かったです。ボール確保する場合も精一杯とっていては次のプレーが遅れますから、ラインアウトのより安定が望まれます。
○キック
今森のキックはタイミングがよく相手のとりにくい位置に蹴っているので、キャッチした相手が蹴り出してマイボールラインナウトできた場面が何度もありました。消極的なものでなく、戦略的なキックでした。ただ、もう少し距離が出るとさらに効果が上がるでしょう。
○集散
機動力があるFWでボールへの働きかけもよかったです。相手より上回っていたと思います。ただ、集散は気を緩めるとどこまでも遅くなります。1試合で大きく変わることもあります。今日もアタック時にフォローが遅い場面もしばしばありました。竹山のアタックなどはフォローしずらいと思いますが、今後の相手では孤立させると必ず獲られます。さらなる集散の早さが求められます。
○正面
元気な正面が帰ってきました。アタックでの強さ、ボールキープ力は社会人でもトップレベルでしょう。さらに今日はディフェンスでも空いたスペースを埋めるためにサイドチェンジしたりと工夫していました。

前半は膠着していましたが、試合前の練習とスタンドの部員がいつになく応援しているのを見て、心配にはなりませんでした。チーム全体のムードの良さや連帯感を感じます。飯尾主将の負傷による戦線離脱をみんなでカバーしているのが伝わってきます。本当に心から応援したいチームです。今日は試合を終わっても席を立つ人も少なかったです。感動してその場をはなれるのが惜しいような感じだったと思います。アタックもよかったですが、終了間際の必死のディフェンスが感動させたのだとも思います。まずはゆっくり休んで、来週も魅せてください。

 

明治大学 12/28記

ついにベスト4、国立を決めてくれました。いろんな人のいろんな思いや夢とともに国立の舞台に帰ります。選手たちのとってはじめての国立あり、毎年毎年が新しい挑戦なので、本当は帰るという表現は失礼だと思います。しかし、今日だけはお許し下さい。私 も’00年1月2日の関東学院戦は忘れられません。今村選手の喜ぶ姿と大西主将の姿をだぶって記憶しています。ファンが言うのもなんですが、やっと あのときの忘れ物を取りに行けるのだ、そう感じます。

今日は最初からすばらしいディフェンスと集散を見せてくれました。HB、CTBの鉄壁のフィフェンスに、1次突破されてもFL陣などのカバーが見事でした。特に感心したのは厚すぎるところが無く、内も外も見事に対応しほとんど穴がありませんでした。攻めているときよりも、守っているときの方が安心できるほどでした。それでも、前半はリードされての折り返しで、 4つトライを獲られています。これは明治の一点突破からです。明治には強力なペネトレーターがいますが、その部分を厚くするとバランスが崩れるため、あえてそれをさけたのだと思います。これはある程度仕方のない面があります。
前半2本目のトライは 自陣22メーターライン付近からの平の独走トライ。前戦の正面のトライを彷彿とさせ、今日はいけるというムードにしてくれました。

後半は出だしは良かったですが、明治も強烈なドライビングモールなどFW攻撃でトライを返し同志社のセーフティーリードを許しません。それでも、後半はオフェンス時のリズムが非常に良かったです。テンポ良くわき出るように前へ出る15人の圧力がディフェンス側を上回りだしました。そのため、ボールを持って突っ込んだ選手が立ってフォローを待てるようなり球出しの早さへつながるという好循環で華麗な連続攻撃が見られました。起点になるのはもちろん竹山で、ランとパスの状況判断がすばらしかったです。それと、FW同士でボールをつなげるのが今年のFWの特徴です。
ディフェンスではトライも獲られていますが、ここ一番では抑えています。30〜35分のゴール前まで2度迫られた攻防ではしっかりと抑えています。時間をかけた攻撃に対しては対応できています。モールも含めてですが、速攻でもっていかれるのがトライを獲られるパターンでした。

今日は山本翼のサイドアタックのトライを見れて良かったです。吉田がボールを足にかけてゴール奥まで持っていって押さえたトライ。中山がキックチャージして独走後、仙波 、平がぴったりフォローで仙波がトライ。・・・など印象に残るトライが多かったです。

気になっていたところを少々。
○セットプレー
今日はここ数試合ではもっともラインアウトが安定していました。これは大きかったと思います。明治はラインアウトディフェンスが得意なチームではなさそうなのも幸いだったのかもしれません。スクラムは互角といえると思います。押せなかったですが、押されなかったです。そのため、どちらも速い球だしからサイドアタックを狙っていましたが、これは竹山の活躍もあり、同志社が優位でした。
(※ラインナウトが得意な・・→ラインナウトディフェンスが得意な・・ 訂正します。12/31)
○キック
今日は今森はハイパントをそれほど多く使わなかったですが、なかなかいいキックでした。ただし、タッチキックではタッチを切れない場面もありました。前戦よりも少し長いキックという意識のためだと思います。これは今後に向けて必要なプロセスだと感じました。吉田のゴールキックは特に後半が非常に良かったです。

特に印象に残った選手を。
○平

平尾2世という言葉が誇張には思えなくなってきました。神戸製鋼でのV5くらいの頃によく似ているような気がします。視線が他の選手とは違っていて、 ディフェンスでこれまでならギャップになっている箇所を埋めています。危機管理能力が高いです。オフェンスでのギャップをみつける才能は平尾氏そのもののような気がします。 前半のトライも外に鄭がいたため、普通ならパスする場面ですがギャップを見つけて内に切れ込んだことからはじまったものでした。ステップの華麗な平尾氏と比べると派手さはないですが、突破力は平の方 が上かもしれません 。
○正面
今日はボールをもって走る場面は少なかったですが、今日は汚れ役に徹してきつい仕事をやっていました。スペースのない場面でポイントをつくったり、ハイパントのキャッチなどチームプレーに徹している印象でした。
○高橋
’93に活躍したFLの吉本氏を思い出します。サイズはないですが、ディフェンスではどこでも顔をだしています。タックルも確実です。中山と2人でディフェンス面での貢献は図りしれません。 また、端迫のサイドアタックのフォロー役として、スクラム離れの早さもありました。
○児嶋
抜かれたと思った瞬間に彼の足下への果敢なタックルが決まったのが2、3度ありました。倒れてから、起きあがるまでが早いのも良かったです。

明治とやるといつも思いますが、ラグビーの次元があうようです。’93もそうでした。決して同じスタイルのチームでも、似ているわけでもないですが、波長が合うようです。ひとつはどちらも相手の短所を突くよりは自身の長所をぶつけようというようなところがあるからだと思います。シンビンもありましたが、決して険悪な試合では無かったです。明治も進化を続けるよいチームでした。こころから賛辞を送りたいです。

このチームは本当に成長を続けるチームです。関西リーグ最終戦の京産大、日大、帝京大と前半はどうなるかわからない試合を制してきました。けが人が出ています。そのための戦力ダウンは大きいですが、それでも接戦を糧として大きくなっています。 次は関東学院です。この試合のチームとしての位置づけはわかりませんが、おもしろい試合になると期待しています。

 

関東学院学 1/3記

ビデオ観戦でしたが、少しだけ感想を。
関東学院FWは強いと前評判が高く非常に不安でしたが、予想以上に同志社FWが健闘している印象でした。ただ、おそらく接点での強さのせいでしょうが、止めるのにFWだけでなくHB陣、CTB陣も要していました。通常よりも人手をかけないと止められないために疲労も蓄積していったのでしょう後半は関東学院ペースになっていたようです。
点数はついてしまった感じですが、望月のコメントにあるように「点数ほどの差はない」と思います。力の差がある相手にも今の同志社なら何かやってくれる期待があります。しかし、これはあくまでここというときの一発でしょう。負傷で途中交代の選手も増えたこと、どうしても勝たねばならない試合ではなかったことなど、その一発をだす場面ではなかったと思います。次は準決勝、前評判は早稲田がかなり高いです。一度だけなら届く相手だと思います。今はまず傷ついた体を癒してください。

 

 

早稲田大学 1/10記 (1/11修正)

3年ぶりの国立は宝ヶ池、花園とは違った独特のあの雰囲気で迎えてくれました。観客でさえ緊張してしまうのですから、選手たちの緊張はどんなものだったでしょう。ただ、今日の国立はほとんど無風で小春を思わせる陽気でした。同志社を何度も苦しめた風が無いことで少しホッとしながら試合開始を待ちました。

前半、先制トライを取ったのは早稲田。その後、同志社も相手ゴール前のポイントから仙波が球だししたボールを正面がポスト下へねじり込みました。 ここから同志社の反撃開始かと思いました。しかし、始まったのは早稲田の猛攻。NO8佐々木を中心にBKも密集サイドを突いてきます。 早稲田のこの意外な攻めでゲインをきられるにつれ同志社の集散や出足のよい思い切ったタックル が徐々に鈍っていきます。2本目のトライを取られると完全にFWの足が止まってしまいました。スタミナに溢れる同志社の前半でのスタミナ切れという信じられない光景でした。 3本目のトライは切れてしまったかのようにあっけなく抜かれてしまったものです。結果論ですが、あのトライが勝負を分けてしまったように思います。
FWが動けず内側でかぶっては飛ばしパスで外側を抜かれる。薄くなったラインではタックルポイントをずらされカバーディフェンスも遅れてロングゲインされる。早稲田 バックスリーは同志社キックに対するポジショニングが良くカウンターアタックではスペースを生かしてトップスピードで同志社ラインを切り裂く。このように翻弄されるシーンを何度も見せられることになりました。早稲田と同志社の体のキレが歴然としていました。

前半を終えて、スタミナが切れていそうなのが大変気がかりでした。
しかし、スクラムは同志社がほぼ支配している。ラインナウトも獲得率も良い。ディフェンスは個々が接点で負けているように見えるが、早稲田のSO大田尾のうまい配球でギャップを突かれていることが原因。前戦で法政がやったようなシャローなラインでオフサイドぎりぎりのディフェンスをすれば止められる 。そして、何度も痛い目をあわされたカウンターにはディフェンス改善よりもキックを修正することで、カウンターの機会を与えないようにできる。最後に吉田が抜けてトライをしたように、 BKがボールを持てば射程距離は長い。鄭のようにタックルを受けても相手をみて確実にパスを通せばリズムはつかめる。そして何よりも基本スキルでは負けていない 。・・・少し楽観的と思いつつ後半はダブルスコアにされない程度にはできると感じました。

後半、選手たちはグランドに早く帰ってきて早稲田を待ちました。静かに待ちかまえる同志社に対して、遅れて出てきた早稲田はボールを使って体をほぐします。勢いの差が出ているようでイヤな予感がしました。
しかし、後半試合開始から、 同志社のリズムのいい攻撃が見られました。ノーミスでどんどんボールを繋いでいきます。さすがに早稲田もディフェンスがよくロングゲインはできませんが、少しずつでもゲインラインを切っているため、怒濤の連続攻撃になりました。最後に早稲田にボールを獲られますが、早稲田が蹴ったボールをキャッチした正面が右隅にトライ。
攻撃にリズムが出てくるのと同時にディフェンスも良くなりました。スタミナ切れと思われたFWが驚異的な集散を見せます。後半一番大きかったのがこれです。前半のディフェンス(早稲田 BKに抜かれたこと)に対する修正としては、CTBに生きたボールを与えない戦術に出ます。つまり、早稲田のキーマン大田尾にプレッシャーをかけて自由に動かさないことですが、これが見事に当たります。短いハーフタイムにどうしてできたのでしょうか。これはすごいとしか言いようがないです。
やはり今年の同志社はディフェンスからゲームを作るチーム。安定したディフェンスから、端迫が強さと速さで持っていき手をいっぱいに伸ばしてトライ。さらにはタッチ際を走った鄭がタックルを受けた相手を巻き込んでから内側をフォローした平にパスを通してトライ。このビックプレーで逆転します。
楽勝ムードだった早稲田も必死になります。川上も投入してきました。そして、トライで再逆転を許します。しかし、なおも続く早稲田の攻撃を鄭のタックルなどで防ぎます。
そして、ラストの3分間。後半開始直後のような連続攻撃を再び見せます。(※11日の新聞によるとフェーズは18次)国立を興奮のるつぼに巻き込みながら、FWの突進と展開をバランスよく混ぜて相手ゴール間近まで迫ります。最後はBKに展開し平がをつきますが、ややクビタックルぎみなタックルで止められて試合終了。ゴールラインまで、あと1mでした。決勝まであと1mでした。

後半は本当にすばらしいゲームでした。そんな生やさしい表現は実は当たっておらず、正直に言いますと度肝を抜かれました。
FW、BKが一体となった連続攻撃はすごかったです。ディフェンスは早い潰しができていました。フォローも、集散も良かった。スクラムも安定。ラインナウトでの萩原のスローは完璧でした。今森のキックは良くのびていました。今期の懸念事項がことごとく修正されています。前半の反省点を修正して、これほどのことをやってのけたのですから、これを指示したリーダーの確かな目、そしてそれを実行した 全員のゲーム理解度の高さ、そしてあきらめなかった精神的な強さ、ひたむきさ、そうしたことを感じました。

選手権に入ってから、急速に強くなったと思います。ここで勝っていればとも思いますが、その話はやめます。
萩原の今日の闘志は忘れません。望月は本来もっと目立つ仕事もできるのにそれを封印してチームプレーに徹してくれました。山本が後半入ってきたときは胸躍りました。端迫は去年のかりを十分にかえしてくれました。吉田は本当に最後の砦でした。そしてそれを暖かく見守った飯尾主将。4回生の皆さんは本当にお疲れさまでした。日本選手権で最後の紺グレを見せてください。

メインスタンドの右端で観戦しました。同志社の応援の方も多かったです。早稲田の部員の前の席で少々押され気味でしたが、前半の劣勢時にもしっかり応援している方たちをみて、こみあげてくるものがありました。
選手たちの勝利を追求する姿が我々の心をとらえて放しませんが、その姿は勝敗よりももっと大事なものを感じさせてくれました。言葉にはできませんが、今日の国立の光景や感じたことをいつまでも忘れたくはありません。そして、それを胸に前に歩いていきましょう。

− 追記 − (1/11)
ボールを動かして相手の足を止めるプラン通り。何度もターンオーバーされているのはボールが出ているのにSHが間に合っていないから。一番注意したのはセットプレー。ラインナウト、スクラムを立て直せと指示した。(清宮監督)
出来は非常に悪い。
ファーストタックルが悪すぎるので、早稲田の攻撃が止められていない。バインドが弱い。追い方がかぶりすぎているし、外への意識が強すぎる。後半に向けて選手たちに言ったことは攻撃の権利を大事にすること。キックが完全に読まれているので、あげる場所も含めて注意すること。(中尾監督)

NHK総合で放送されたハーフタイムのインタビューです。まず清宮監督。コメントどおり前半、早稲田は同志社の足を止めるのに成功したと思います。そこで(同志社はすでに消耗したので)後半はセットプレーで圧倒して一気に潰しにかかろうと自信に満ちたコメントをされています。これをリアルタイムで聞いていたら、私などは震え上がったかもしれません。

一方、中尾監督は早口ながら、後半の実行策を具体的かつ的確にコメントされています。すべての言葉が意味を持っていたことを結果を知ってから聞いて実感しました。

・「攻撃の権利を大事にする」というゲームプランを後半は徹底していました。SO今森はキックは使わずにボールを回します。その展開ですが、継続の意識があり大外まで振って1人で勝負してターンオーバーされるリスクは避けて、サポートがつける範囲を意識して回していました。そして、 相手がキックの警戒を緩めたのを見て良く伸びるキックを決めるなどすばらしい今森のゲームメイクでした。
・タックルも目に見えて良くなり、相手のボールキャッチと同時に一人目が足を殺し続いて2人目がボールを殺しに入ることが実践されていました。 タックル時のしっかりしたバインドは早稲田の球だしを遅らせて、次のディフェンスへの好循環となりました。しかし、攻撃的なディフェンスは今シーズンの持ち味です。早稲田のラインが外に開きながらボールを回 してタックルポイントをすらしていたのが前半のタックル不発の原因であったと思いますが、後半はしっかりマークを決めて早稲田の揺さぶりにも対応しきっていました。

ハーフタイムであれほど変われたのか試合直後から疑問が続いていましたが、ビデオで中尾監督のコメントを聞いて少しわかったような気がしました。パフォーマンスが得意な清宮監督とは対照的に、中尾監督はあまり表には出ないためコーティングがよくわからない部分が多いですが、このコメントを聞いて目指すものの確かさを感じました。

報道された中ではもう一つ気になる記事がありました。
早大が良かったのは前半だけ。相手の甘いタックルであげた4トライで救われた。後半は同大が大きくて早いCTBを生かした攻めに徹して3連続トライ。防御でも前に出られるようになっただけに、前半の無策なキックが惜しまれる。
スポーツ面のラグビー記事中にそっとはさまれる形で他の部分とは明らかに違うトーンのこの記事がありました。

後半35分すぎに同志社陣深くで早稲田が得たペナルティー。ペナルティーキックを選択すれば容易に試合を決められた場面でしたが、早稲田はトライを狙いました。結局トライは決められずラスト3分の激闘となりましたが、早稲田の熱いハートを感じました。

同志社の ラグビーを見せてもらったシーズンでした。かつて大差で勝負が決まる試合はラグビーではないと書きました。今はそこまで極端には思っていませんが、力が拮抗して、あるいは力の差のある相手に対して、いかに勝負を挑むかがラグビーの醍醐味だと思います。他を圧する絶対的な力を付ける努力はすべきですが、現在の同志社にはできないと思います。今シーズン見せてくれたのはラグビーでした。

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