大学選手権

  1回戦
日付 12/15
相手 帝京大学
得点 24-26

 7-19
17- 7

場所 花園T
田中@  
萩原B  
表C  
望月B  
藤井C  
飯尾B  
端迫C  
熊谷A 中山A
竹山A  
10 山下C  
11 中矢C  
12 徳野C  
13 平A  
14 正面@  
15 吉田Bk  

感想

帝京大学 12/15記

何度、悔し涙を流せば、楕円球の神様は微笑んでくれるのでしょう。

関東勢の強さはわかっていても、まさか負けることはないと思っていました。それが・・・、前半の失点で厳しさを思い知らされました。

しかし、本当にいい試合でした。これだけ手に汗握る試合はここ数年味わっていなかったような気がします。
前半のリードを追いかけての後半、観客は選手と一体となりました。終了間際、正面のトライが決まったときは盛り上がりました。あと、2点。勝負の世界では言ってはいけないことですが、あと5分あれば・・・。

勝負は時の運。もう一度試合をすれば結果も変わると思いますが、今日に限っては帝京大との2点差はやはり実力差なのかもしれません。関東でもまれて何が足りないのか確認しつつ力を高めてきたチームと、明確にはめざすものが見えずにシーズンを過ごして初めて緊迫する試合をしたチームとの差があったように思います。この試合を乗り越えれば、1週間で計り知れないほど成長できるチームだったはずです。本当に残念です。もう一試合見たかったです。

来シーズンのことは考えられないほど、この学年には思い入れがあります。徳野主将、奥薗、中矢、藤井ら4回生には1回生のときから、たくさんの夢をもらいました。
今シーズン、関西リーグの初戦ではまだまだだったチームをここまで持ってこれたのは徳野主将らの大変な尽力だったはずです。見に見える成長を見せてくれ、本当に楽しい関西リーグでした。負けたからといって、今シーズンが否定されるわけでは絶対にありません。
進化のベクトルはこの試合でより確かなものになったはずです。今後は徳野主将らはいないですが、どうかこの流れを切らないでほしいです。選手が入れ替わる学生ラグビーですが、伝統というものがあるとしたら進化を続ける意志だと思います。
来年はもっと成長した姿を見せてほしい。願いはそれだけです。

 

追記(12/22)
早稲田大対東海大、帝京大対慶應義塾大の2試合を見てきました。帝京は慶應に快勝しました。慶應に比べると集散は遅いと感じるものの個々の突破力、一瞬のチャンスを見逃さない決定力は見事でした。3段論法は止めますが、同志社も準決勝に出場するチームと実力的には劣っていないと感じました。

何が足りないのか? これを思いながらの観戦でした。
慶應と帝京の試合前の練習用グランドでのアップを見ていて、先週のこの時間に感じたことを思い出しました。同志社は試合前にも関わらずかなり熱の入った練習をしており、スタミナには問題がないことを感じさせてくれました。一方で帝京の方の練習をみて、この試合はかなり厳しいものになると予感しました。練習メニューはそんなに変わらないと思うのですが、決定的に違う部分があったのです。帝京の練習は1つのプレーをした後、次のプレーの体制に入るまでがワンセットなのです。例えば、タックル練習の場合は同志社は相手を倒して終わりなのですが、帝京は相手を倒して自分も倒れた場合はすぐ立ち上がって次のプレーに備えるまでがプレーオンでした。もちろん、試合前のアップです。これ一つとって、練習の質を論じるつもりは毛頭ありませんが、今日の試合で感じたこととつながる部分でした。

試合ですが、早稲田と同志社の技術面や体力面での差は感じませんでした。もちろん実際に対戦しないとわかりませんが、おそらくスキルに決定的な差はないでしょう。差を感じるは試合のテンポです。一つのプレーと次のプレーに間(ま)を感じないことです。プレーとプレーのつなぎの部分も一つのプレーと認識されているという感じです。早稲田のいう継続とはこうした部分も含まれるのでしょう。
そして、早稲田の選手はスタートが早いのです。ポイントができそこにSHが駆け寄った時点でラインに並ぶ選手はすでにスピードに乗っています。スピードに乗ってシャローラインのような位置になっていますから、ディフェンスとはモーメンタムの差が出てきます。ラインの早いスタートはSHが毎回同じタイミングで球出しをしなければできないはずです。このリズムを体に染みこませるために練習をしてきているのでしょう。早稲田のプレーの正確性やスピード感はあのリズムから生まれるものなのだと思いました。
それでも、この日のSH田原はいつもよりリズムが悪いとのことでした。FLの羽生の活躍には感動しました。試合後の彼はまさにボロボロ。もてる体力のすべてをこの試合で出し切っているような印象を受けました。こういう選手がいるチームは強いと思いました。

同志社に足りないものは何か。もちろん、私のような素人にはわかりません。
早稲田は清宮監督の2年目でその努力が結実しています。しかし、それは早稲田のやり方です。やり方はもちろん一つではありません。同志社らしいくせのあるチームスタイルが好きです。来年はどのような戦い方を見せてくれるのか期待したいです。

 

シーズンを終えて(1/18)
 1回戦敗退の波紋は大変大きいものでした。ファンや中には専門家からの批評対象は技術的なものよりも、組織のあり方に関するものが圧倒的に多かったです。同志社の復活を印象づけた’99、’00年度のシーズンの後、ファンの期待はますます大きくなっていました。ところが’01、’02年度の2年間はいずれも国立にはたどり着けずに涙をのみました。その一方で、’99年度の選手権では完膚無きまでに叩いた早稲田が同志社を追い抜いて復活しました。同志社ファンの失望も大きかったと思います。

このHPを始めたのも’99年度です。今年の総括のためには少し歴史を遡らないといけないと思います。


’99 FW強化により復活したシーズン
 圓井氏が監督に就任して、長年の伝統であった学生主体からコーチ主体に一歩踏み出しました。圓井監督、水間主将が着手したのはFWの強化。もっとも印象的だったのはスクラム。選手権では日体大、早稲田を粉砕します。しかし、特筆すべきはスクラムよりもFWのトータルアタック力が格段に向上したことです。
 圓井監督がFW偏重とも思えるほど、FW強化にこだわった狙いは何か。慶応に負けた際も「スクラムがすべて」と潔くなれた背景は何か。誤解を恐れずにいいますと、FWが楽めるゲームプランを志向することでFW陣のモチベーションを高めてFWからチームを再生する狙いがあったと思います。多少のことは犠牲にしても、FWをやる気にさせなければ何も始まらないと考えられたように思います。本当の狙いはBKと一体となった攻撃だったと思いますが、あえてこの1年は封印したようです。当時3回生の大西を夏合宿でSOにコンバートして、BKに関しては彼に一任したようにも見えました。
 準決勝で苦敗しましたが、目指したことができた充実の一年だったと思います。次のシーズンへの課題も明確でした。
’00 BK強化によりさらに飛躍したシーズン
 前年残した部分、とくにディフェンス、BKの展開力の強化が行われました。前年よりも総合力がアップしました。大西主将という絶対的な存在の下、10月には関東学院を倒し、万全の状態で選手権を迎えたとも言えました。しかし、準決勝で関東学院の前に破れてしまいます。
 尾崎、藤井というFWの大黒柱をケガでかいた監督、主将とも試合後に「何が足りないのかわからない」という主旨のコメントを残しています。集散やルーズボールへの働きかけは関東学院に劣っていましたが、これはあらかじめ織り込み済みで、この点で劣勢があってもなお勝算はあったはずです。翌年に向けて何をすべきか模索しなくてはならないという課題が残りました。
’01 FWとBKの連携を図るも時間が足りずにFW中心となったシーズン
 引き継いだのは田中主将。前年度からの宿題に加えて、核になる選手がごっそり抜けた穴埋めも考えなければならない厳しいスタートだったと思います。過去2年からさらに進化させてFWとBKが一体感を志向するも、主将のケガもありチーム作りが遅れます。夏合宿を体力作りに重点におき巻き返しを図るも、関西リーグでは基本スキルやスタミナの低さを露呈してしまいます。
 選手権では次善の策としてFWを重視した攻撃に徹します。田中主将を中心としたタテへの迫力はすさまじかったですが、国立には届きませんでした。選手権だけ見れば、’99シーズンの戦い方に近づいてしまっていました。

 

’02シーズンは圓井監督に代わり、徳原ヘッドコーチ、東田BKコーチ、中尾FWコーチが就任されました。徳原ヘッドコーチは「ひたむきさ」を求められました。ボールへの執着心、忠実なサポート、倒れても倒れても立ち上がるねばり強さといった同志社にやや欠けている部分の強化を意味していたと思います。
 徳原ヘッドコーチの求めた部分の成果は表れたと思います。もっとも感じたのはスタミナのアップです。全員が走れるようになりました。戦略的にはゲームの中でチームコンセプトが見えるようになりました。ここ数年苦手としていたラインナウト、キックも進歩しました。その一方でスクラムや個々の接点での強さでの優位性が揺らいでしまいました。
 今シーズン、特筆すべきはチームの成長でしょう。関西リーグの当初は仕上がりが遅かったですが、リーグ戦の中で格段に進化しました。これは徳野主将のキャプテンシー
によるところが大きいでしょう。最終的には理想に近いチームに仕上がってきたと思います。

 しかし、1回戦で姿を消してしまいました。発展途上だっただけに1回戦を突破できれば、さらにレベルアップして2強に迫るところまでいけたと思います。しかし、帝京大との間には劣る部分もありました。

@切り替えの遅さ
一つのプレーをしてから次のプレーに移るまでに時間がかかっています。また、自分の”持ち場”にスムーズに入れていない場面もあります。徳野主将に指示を受けてあわてて動く場合も見られましたが、動線が直線でないために数的ゲームに負けていました。
A高いフェーズでの組織力の不足
ラグビーマガジンに掲載された京大側のコメントで「サードフェーズ以降は個々が力任せ」とありました。
@であげたプレーの切り替えの遅さ、ここでは単純に寝ている選手が多いということもあります。もうひとつは最初のポイントにFWがたくさん入りすぎて、フェーズが上がった場合にフォローが無くなってしまいます。結果としてボールキャリヤーは単発攻撃になってしまっています。’00の頃の少人数の球だしからあまりに変わりました。
モールを形成するつもりがラックになりやむなく球だしをするが、次のポイントにはFWのフォローがないという状態になっているのだと思います。関西リーグでモールが通用しすぎた悪影響かもしれません。
BBKのFW能力の不足
BKの選手がFWの選手から遠い地点で捕まった場合、近くにいるBKの選手がポイントの形成から球だしまでをしなくてはいけません。しかし、BKによるボールキープができなく、ターンオーバーされて相手のビックチャンスになるケースが再三です。
Cミスリカバリーの不足
関東の強いチームでもミスはしています。しかし、ノックオン以外のパスミスはうまくリカバリーしています。フォローがしっかりしていて、仲間のミスを救っています。野球で捕球ミスに備えてカバーがいるように、カバーがいます。むしろミスはあるものというのが前提にあると思います。危機管理能力の有無でしょう。
Dタックルミス
ファーストタックルの成功率が低いです。連携不足で自分が誰をマークするのか迷いがあると思います。出足が遅れて、手によるタックルになって倒せないでいるようです。もうひとつはタックルポイントが点になっています。相手にずらされているので、線で相手を受けられない状態です。ドリフトであっても、相手と正対できないとつらいと思います。
Eモーメンタムの不足
モーメンタムは質量と速度です。動き出しの遅れから接点での速度が不足しているように思います。攻守ともに感じます。迷いがあるとスピードは出ないでしょう。

 

私の認識不足による誤解も多々あるともいます。しかし、’03年シーズン課題は多いことは間違いないでしょう。同志社も進化していますが、関東の大学も進化を続けています。かわりゆくラグビーを同志社がリードしてくれたらと期待してやみません。

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